名古屋鉄道・車両検査場へ行く
あるいは国産車輪の誕生

名古屋鉄道
車輪のない電車を見るのは初めてです


 先日、名古屋鉄道の車両検査場に行ってみました。
 愛知県岡崎市にある舞木検査場で、1997年4月に完成したものです。一気に10台の車体が検査できます。

 安全が重視される電車は、毎日の通常検査はもちろんですが、それ以外に指定された法定検査を受けなければなりません。これは自動車の車検と一緒ですな。
 検車は4年(または走行60万km)で重要部について、8年で車両全般にわたってのチェックが行われます。

舞木検査場
こちら舞木検査場。すっげー巨大!


 で、ざっと考えてみるに、電車の構造ってパンタグラフと車両と車輪部分以外にないんですよね。すごい単純な構造。
 なのでこの検査場でも主にその3つに分けられ、詳しい検査が行われます。
 
 ではさっそく工場内へ入ってみる。
電車の出入口
電車の出入口


 現在、名鉄はだいたい4両編成なんですが、まずはこの4両が検査場に入ってきます。
 入口が上の写真。向かって左は、工場から運び込まれたばかりの新造車両。
 まずはパンタグラフを外し、続いて全シートも外します。

外されたパンタグラフ
外されたパンタグラフ。これは電機作業場で検査へ

名鉄クレーン 名鉄整備工場
左は36トンの大型クレーンでクーラーを外しているところ。右はドアの修繕


 次に車輪が外され、箱だけになった車両は塗装作業場に回ります。

 さて、一番重要なのは車輪部分ですが……。
 車輪部分は輪軸(車輪と車軸を組み合わせたもの)、回転機械、台座枠に分けられます。

車輪の台座 輪軸
左が車輪の台座部分。ここからモーターと台車枠を外したものが「輪軸」(右写真)

車軸 名鉄台車作業場
こちらが車軸。右は台車作業場の全景(左端の青い機械がドライアイス洗浄機)

 
 さて、車輪はドライアイスで洗浄され、ポリッシャーで研磨されるのですよ。そして、回転検査、探傷検査などが行われます。
 ちなみに鉄道車輪の構造ですが、レールに当たる面を踏面(とうめん)と言い、その踏面の横に脱線防止用の突起部分(フランジ)がつけられています。
 当然ですが、走行&ブレーキによって踏面が削られ、右折&左折によってフランジが摩耗していきます。そして、フランジがある程度摩耗したところで、その車輪は寿命となります。

研磨機 廃棄された車輪
左が研磨機。右が廃棄された車輪


 こうして検査が終了した各部分は再び1台にまとめられ、また町中を走るのです。
 いやー、車両検査場って初体験だったので、感心してしまいましたよ。しかし、俺の白いシャツは油で真っ黒になってしまったのでした。


制作:2007年6月4日


<おまけ>
 鉄道の車輪は、現在、国内ではただ1社しか作ることができません。つまり、冗談抜きでシェア100%なんです。
 その会社の名前は住友金属工業。
 住友金属は昭和10年(1935)、軍需インフレの波に乗った住友伸銅鋼管と住友製鋼所が合併して設立されました。

 住友伸銅鋼管は、1897年創業の住友伸銅場が起源で、別子銅山の精銅から銅や真鍮を作っていました。この会社は、第一次世界大戦後、ジュラルミン等のマグネシウム合金により、プロペラなどの航空機産業で名をはせました。

 一方の住友鋳鋼場は1901年創業ですが、もともとは1899年(明治32年)創業の日本鋳鋼場が起源。これは日本初の製鉄所です(官営八幡製鉄所は1901年に火入れ開始)。
 世界最強といわれたKS磁鋼で、やはり軍需産業として活躍しますが、創業当時から鉄道車輪も作っていました。1904年に政府から鉄道部品メーカーのお墨付きをもらうんですが、車輪制作に必要な外輪圧延機と輪バネ製作機は、日本にはこの会社にしかなかったのです。

 なお、現在でも時速200キロ以上の高速走行に耐える車輪は、世界でも住友金属と独、仏の2社の計3社しか作れないそうです。

名鉄の試運転車両
名鉄の試運転車両

広告
© 探検コム メール