小理屈お鍋 of 北沢楽天の世界

小理屈お鍋

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今度来た女中はよく働くけれども、どうも理屈を言うので、奥様大いに持てあましている。
奥様「お鍋や、大急ぎでこのハガキを出してきておくれ……お前、座って挨拶するものですよ」
お鍋「急ぎなら立ってる方が早いでしょう。第一、急用なら電報の方がいいでしょう。ハガキではいくら私が急いでも、郵便局で急ぎませんからね」

奥様「黙って早く出しておいで。これこれ、なぜハガキを読むのです、失礼な」
お鍋「でも奥様、ハガキは他人が見ても差し支えないことを書くものでしょう。どんな大急ぎのお芝居のことですか。はぁ、じゃ、行ってまいります」

奥様「ねぇ、おばさま。あんな小理屈を言う女があるでしょうか? 早く代わりを見つけて暇をやりましょう。へぇ桃がむけました、召し上がれ」

奥様「お鍋や、これを捨ててきておくれ」
お鍋「お盆も包丁もですか?」
奥様「わかりきっているじゃないか、桃の皮をですよ」
お鍋「桃の皮なら『桃の皮をお捨て』と言う方がいいですね。ただ『これをお捨て』と言うと、お盆ごとのようですからね」

奥様「お鍋や、掃除のとき、忘れずに棚の上もキレイにおしなさいよ。2カ月以来のゴミが積もっていますよ」
お鍋「奥様、私は1カ月前にご奉公に上がりましたんですよ。2カ月前のゴミの責任は負えませんわよ」