ロケット郵便局

郵便ロケット
到着した郵便ロケット
(この鮮明さはどうよ!)


 敗戦直後の暗い時代、子供たちに強烈な夢を与えた科学雑誌『動く実験室』。創刊は昭和21年(1946年)10月で、表紙のカラー画像に、みんなビックリ仰天でした。
 現在では誰も輝ける未来なんて信じていませんが、昔はみんなこの雑誌で未来を夢見たんだよ。そこで本サイトでは、この雑誌を主軸に、かつて存在した「バラ色の未来像」を大特集します!


 さて、まずは民営化された郵便局の、ありうべき未来像です。完全自動化で、職員はほとんどいないぞ!
 
《ごく近い将来には、すべての交通機関がロケットにかわるときがきっとやってくるにちがいありません。……郵便物や荷物をポストにいれると同時に、それらが圧搾空気のはたらきで、すぐに中央郵便局へとどけられ、それがまた機械だけのはたらきで、それぞれ、ロケットにつみこまれて、やつぎばやに目的の郵便局へおくり出されていくような装置を考えてみたいとはお思いになりませんか?
 こんな装置がじっさいにできれば、荷物や郵便物を郵便局や駅へはこぶ必要もなければ、いちいち汽車や汽船につみかえるめんどうもなくなりますし、そのうえ、東京から鹿児島または青森、札幌へでもわずか数十分というみじかい時間でおくりとどけることができます》(『動く実験室』1948年8月号)

郵便ロケット
配達・収集以外のすべてが自動化されてます



 郵便局の仕組みはこんな感じ。
 各分局からトラックや地底パイプで集まった郵便物は、自動で分類して整理され、ロケットに頭部から積まれます。ロケットは一定量を積むと水平になり、頭部は閉ざされ、目的地へ向かって発射! 到着したロケットは、エレベーターで下ろされ、次の発射準備に入ります。郵便物はやはり自動で仕分けされ、市内各所へトラックで運ばれるのです。
 
 なんというか、タイムマシンみたいに突飛すぎないところがいいでしょ? それがSFではなく、科学雑誌のゆえんです。


 でだ。
 実は、こんなロケット郵便を実際に実験した人がドイツにいました。
 彼の名はヘル・ゲルハルト・ツケッケルといい、1935年、600通の手紙をハントから5km離れたワイト島へロケットで飛ばしたのです。その画像がこれ。

郵便ロケット
『科学画報』昭和10年(1935)3月号より

 残念ながら、実験は失敗しましたが、似たようなことを考える人は世界にたくさんいるんだな。
 
 こちらは翌1936年、アメリカ初のロケット郵便。郵便とついていますが、どうも単なるロケット実験のようです。ニュージャージー州グリーンウッド湖畔から飛んだそうですが、資料によれば、なんと時速25200マイル。これって時速4万キロ以上なんですけど??

郵便ロケット
ロケット郵便を記念した切手

 それにしても、ホント、世界にはいろんな人がいますね!

更新:2006年5月16日

<おまけ>

 簡単にロケット開発の歴史をまとめときます。
 1897年、ロケット工学の基礎的な理論を考え出したのが、ロシアの科学者ツィオルコフスキー。彼は「地球は人類の揺りかごだが、我々が永遠に揺りかごにとどまることはない」という有名な言葉を残しました。
 1926年、世界初の液体ロケットを打ち上げたのが、アメリカのロバート・ゴダード。「近代ロケットの父」と呼ばれている人物ですな。

 で、実用的な液体ロケットを開発したのが、ドイツのフォン・ブラウン。彼の開発したV2号は、世界初の弾道ミサイルとされています(攻撃用として史上初めて使われたのは1944年9月7日)。
 もともとは1927年に結成されたドイツ宇宙旅行協会で研究していましたが、後にナチスのロケット研究所で開発を進めました。
 戦後、フォン・ブラウンはアメリカに亡命、NASAを中心にアメリカの宇宙開発を進めます。
 1958年、西側諸国初の人工衛星エクスプローラー1号の打ち上げに成功。そして、月面着陸(アポロ計画)も彼が指揮したものでした。

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