巨大「獅子頭」を見に行く
あるいは祇園信仰の誕生

難波八阪神社
繁華街の真ん中にある難波八阪神社


 大阪ミナミの中心・難波駅からすぐのところに、難波八阪神社があります。
 八阪神社とあるとおり、ここは京都・八坂神社の分社。

八坂神社
京都の八坂神社(1931年)



 八坂神社といえば日本三大祭りの1つ「祇園祭」で有名ですが、では、その祭神はなんだか知ってますか?

 現在の祭神は荒くれ者で有名な素戔嗚尊(すさのおのみこと)ですが、明治元年(1868)の「神仏判然令」以前の祭神は、牛頭天王(ごずてんのう)でした。

 牛頭天王は、釈迦が説法を行った祇園精舎の守護神ですが、こちらも名うての荒くれ者。
 そして、牛頭天王も素戔嗚尊も疫病の神様として知られています。これはもともと疫病を流行らせる悪い神であり、それを祀る(まつる=祭り)ことが疫病祓いになるという民間信仰です。

 まぁ、邪神を祀ることで、これを祓う善神に転化させるというのは神社の基本みたいなもんですな。
 怨霊と化した菅原道真のたたりを防ぐために北野天満宮ができたり(祭りとしては北野祭)、食物霊の呪いを防ぐために伏見稲荷大社ができたり(祭りとしては稲荷祭)するわけです。


 さて、日本の神・素盞鳴尊と習合した牛頭天王は、八坂神社・津島神社・氷川神社で祀られています。祭りとしては祇園祭、天王祭、氷川祭です。
 だいたいどの祭りも夏に開催されるわけですが、これは夏にいちばん疫病が流行したためだと思われます。この信仰が「祇園信仰」で、夏=祭りというのは、ここから広がったと言ってもいいでしょう。


八坂神社の祇園祭 津島神社の天王祭
左が八坂神社の祇園祭(1931年)、右が津島神社の天王祭(1901年)


 実はここまでが前振り。ようやく冒頭で触れた難波八阪神社の話に入りますが……難波八阪神社の祭りは、冬と夏に行われます。
 1月には、大阪市初の無形民俗文化財に指定された綱引き(「綱曳」)が開催されます。これは素戔鳴尊が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した故事に由来してるそうです。
 そして7月には、「船渡御(ふなとぎょ)」と「獅子舞」が。獅子舞っていうと正月のイメージですが、この神社では夏のイベント。戦前は4頭の獅子が200人のカルサン姿(南蛮服のだぶだぶズボン)の踊り子を連れて踊り回ったそうです。
 
 その獅子舞に使った獅子頭が下の写真。これが今でも現存してるかどうかは知りません。

大獅子頭
戦前に使われていた大獅子頭


 で、これだけ獅子舞に命かけてる神社だけに、ついに巨大な獅子頭を作ってしまいました。それが1974年に作られたこの獅子殿だ!

大獅子頭
車の大きさと見比べてみてね


 高さ12m、幅11m、奥行き10mという巨大獅子頭。口の中が舞台になっていて、夏祭りや神事の際には、奉納舞などが行われているそうです。

獅子舞台 大獅子頭
すっげー巨大な獅子舞台(笑)。歯も丈夫そう


 俺は毎年恒例の「珍スポット年賀状」の撮影のためにわざわざ出向いたんですが、しかし、単に珍スポットではくくれない深い深い神社なのでありました!

制作:2007年1月5日

 あ、忘れてましたが、本堂はこちら。
難波八阪神社

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