

宮崎駿が「千尋が働くことになる湯屋は目黒雅叙園も参考にしています。そこは元禄文化風とされる通俗的な御殿が持つどぎつさがあり、そのどぎつさを出したかった」と語るように、映画「千と千尋の神隠し」のモデルでもあるんですねぇ。
参考までに、写真家の小野一郎のコメントも書いておきましょう。
《(目黒雅叙園は)明治以降にのぼりつめた日本の伝統建築の頂点であり、昭和が残した最後の日本文化の集合体だ。人間の欲求を果てしなく無邪気に形にしたら、こんなものができるのだろうか》(「奇っ怪建築見聞」所収)
左:“漁樵の間” 檜の床柱に掘られた立体彫刻
右:“清方の間” 欄間には鏑木清方の日本画が

“ラジウム温泉・百人風呂”(戦争で焼失)
左:イスラム調の浴室 右:螺鈿細工や浮き彫り彫刻で満たされた脱衣場
左:“大月の間”
右:旧4号館2階廊下

最後に、映画パンフから宮崎駿の言葉を引用しておきましょう。
《湯婆婆の棲む世界を、擬洋風にするのは、何処かで見たことがあり、夢だか現実だか定かでなくするためだが、同時に、日本の伝統的意匠が多様なイメージの宝庫だからでもある。民俗的空間──物語、伝承、意匠、神ごとから呪術に至るまで──が、どれほど豊かでユニークであるかは、ただ知られていないだけなのである。
……子供達はハイテクにかこまれ、うすっぺらな工業製品の中でますます根を失っている。私たちがどれほど豊かな伝統を持っているか、伝えなければならない》
さすが宮崎駿、含蓄のある言葉ですな。