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交通科学博物館

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交通科学博物館


 JR西日本が運営してきた大阪の「交通科学博物館」が、2014年4月6日、52年の歴史に幕を下ろしました。
 もともとは、1962年に国鉄が大阪環状線の開通を記念して作ったものです。

 展示品は「0系新幹線」や蒸気機関車など21両の実物車両のほか、7編成の鉄道模型が同時に走行できる大型ジオラマ(幅約17m、奥行き約7m、レール総延長約400m)も人気を集めました。

 このジオラマは解体されましたが、車両や6万3000点に及ぶ資料の多くは、2016年に京都に開館する「京都鉄道博物館」に移管されます。

 来館者数は1980年度に約52万人を数えましたが、徐々に低迷し、2013年度は40万7449人でした。52年間の累計来館者数は1811万3433人です。

 東京の交通博物館は、鉄道博物館に移転後、鉄道以外の資料展示が完全に消えてしまったので、おそらく「交通科学博物館」にあった大量の交通資料も、鉄道関連以外はすべて日の目を見なくなることでしょう。

 そんなわけで、本サイトでは鉄道以外の交通資料を中心に、発動機関係と「0系新幹線」の内部を公開しておきます。

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昭和初期の駅


 まず玄関を入ってすぐに目に行くのが、蒸気機関車が走っていたころの昭和初期の一般的な駅を再現したもの。ホームには1881年に京都〜大津間の急勾配用にイギリスから輸入された1800形蒸気機関車が展示されていました。

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蒸気機関車「義経号」


 交通科学博物館でもっとも貴重な機関車が、7100形蒸気機関車「義経号」。北海道で最初に走った蒸気機関車で、1880年にアメリカから輸入されています。1952年に鷹取工場で動態保存機として復元され、1991年から保存されています。

 下は「硬券」と呼ばれた乗車券の印刷機です。

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 飛行機では、エアロ・コマンダー680F型小型機が目立ちました。

 1960年に、アメリカのエアロ・コマンダー社が発表した双発プロペラ機。翼が機体の高い位置に付けられているので、撮影がしやすく、航空写真や測量、新聞社の取材に使われました。展示してあるのは朝日新聞社の「東風(こちかぜ)」です。

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「東風」とスバル360DX

「東風」の手前にあるのがスバル360DX。1958年に登場した日本初の軽乗用車。航空機の胴体と同じモノコック方式(外板自体に強度を持たせたもの)を採用したことで、車体が軽くなりました。奥にある白い車が三菱500A11型。三菱500は、1960年に登場した三菱初の乗用車です。

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輪タクと世界初のガソリン車


 鉄道科学博物館には車の展示も多く、こちらは輪タク(右)と、ベンツが作った世界初のガソリンエンジン車。

 輪タクは1948年頃に大阪で使われていた標準的なもので、泥よけには航空機用のジュラルミンが用いられています。

 ベンツのガソリン車(複製)はベンツ・パテント・モートルヴァーゲンという名称で、1885年に開発され、1886年に特許取得しています。

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ヒルマン・ミンクス


 一方、こちらは1953年から「いすゞ」がイギリスのルーツ社から部品を買って生産を始めた「ヒルマン・ミンクス」。1957年には完全国産化に成功しています。


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ダットサン16型セダン(黒)と13型ロードスター(赤)


 そして、この2台はダットサン。1911年に橋本増治郎が創業した「快進社自動車工業」が製造したもので、田健治郎、青山禄郎、竹内明太郎の名前の頭文字をとって「DAT」と名付けられました。

 1931年にさらに小型の自動車を製造し、これを「DATの息子」という意味で「DATSON」と名付けます(翌年に「SON」は「損」に通じるからと太陽の「SUN」に変更し、「ダットサン」ブランドが誕生)。1934年に日産自動車に改称しています。

 その奥の白い車は1957年に生まれた軽三輪トラック「ダイハツミゼットMPA」。


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リニアの超電導磁石


 ほかに、超高速鉄道関係の展示としては、下がリニアモーターカーの心臓部である超電導磁石。超伝導とは冷却によって電気抵抗がゼロになる状態で、中にはコイルが入っており、液体ヘリウムで冷やされています。

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超音速滑走体


 そして、「音速滑走体」(上)と「超音速滑走体」の模型。

 1949年、真空状態のチューブの中をロケットエンジンによる推進力でぶっ飛ばす「音速滑走体」の研究が始まり、1959年には秒速700m(時速約2500km)で東京〜大阪を14分で結ぶ「超音速滑走体」の実験が始まります。

 しかし、乗客にかかる異常な重力など問題も多く、開発は中止されました。