東京初の博覧会


大人気の金のシャチホコ


 日本最初の博覧会は京都ですが、東京初の博覧会は、明治5年(1872)3月10日、湯島聖堂で開催されました。骨董品や動植物の標本程度しか見るべきモノがなかったんですが、そのなかでもっとも人気を集めたのは名古屋城の金のシャチホコ。高さ8尺7寸、尾の長さ5尺4寸、胴回り7尺3寸、鱗の数100枚あまりで燦然と輝いていたそうです。

 当初、期間は20日間でしたが、シャチホコ人気で4月30日まで期間が延長されました。


イラストでもシャチホコが人気


 もともとこの博覧会は、文部省が博物館を作るために開催したものですが、実際のところあんまりいい展示がなく、庶民に向かって、いろいろモノを出してくれ! と懇願したほどでした。
 以下、その当時2000枚ほど配られた布告ビラを全文公開しときます。




博覧会

 博覧会の趣旨は、天造人工の別なく、宇内の産物を蒐集して其名称を正し、其用法を弁し、人の知見を広むるに在り、就中(なかんずく)古器旧物に至ては、時勢の推遷制度の沿革を追徴す可き要物なるに因り、嚮者(さき)御布告の意に原き、周く之を羅列して、世人の放観に供せんと欲す、然ども、其各地より徴集するの期に至ては、之を異日に待たざるを得ずして、現今存在の旧器は、社寺に遺伝する什物の外其用に充つ可き物少く、加ふるに皇国従来博覧会の挙あらざるに因り、珍品奇物の官庫に貯ふる所亦若干許に過ぎず、因て古代の器物天然の奇品漢洋舶載新造創製等を論ぜず、之を蔵する者は、博物館に出し、此会の欠を補ひ、以て世俗の陋見(ろうけん)を啓(ひら)き、且古今の同異を知らしむるの資助と為すを請ふ。

一、品物は、二月十五日より文部省博物館へ持出す可く、尤も重大の品は、持夫差出す可き事、
一、品物受取の節は、預り証書を渡し置き、会後に引替差戻す可き事、
一、永久博物館に預け置き苦しからざる品は、別段預り証書を渡し置き、持主入用の節は、何時にても証書引替相渡す可き事、
一、出会の品は、必ず持主の姓名を記し、之を列す可き事、
一、会期は、来る三月十日より二十日の間を限り、展覧は毎朝九時より、午後四時を限とす、但し常備の品は、一六の日、同時刻の間拝見相成候事、
一、拝見人は男女を論ぜず、一日に大略千人を限り、拝見の切手相渡候間、右持参致す可き事、
一、切手は、文部省博物館及ひ諸方書林より相渡し申すへき事、但し一人一枚に限り候事、

  壬申正月            
                       文部省 博物館


 ちなみに人気のシャチホコは、翌1873年、ウィーン万国博覧会へ出品され、これまた人気を博したのでした。


制作:2005年4月17日