奉祝國民歌「紀元二千六百年」


奉祝國民歌「紀元二千六百年」

 紀元2600年奉祝の公式曲は「紀元二千六百年頌歌」ですが、これは荘重で儀式向けのもの。一般向けの奉祝歌は行進曲風の「紀元二千六百年」で、これは当時ラジオから毎日のように流れ、大流行します。詞も曲も公募によるもので、1万8000以上の応募作の中から選ばれた歌詞は以下の通り。

奉祝國民歌「紀元二千六百年」


奉祝國民歌「紀元二千六百年」
内閣奉祝會撰定/紀元二千六百年奉祝會・日本放送協會制定
 増田好生 作詞/森義八郎 作曲

 金鵄(きんし)輝く日本の 榮(はえ)ある光身にうけて
 いまこそ祝へこの朝(あした) 紀元は二千六百年
 あゝ 一億の胸はなる
 歡喜あふるるこの土を しつかと我等ふみしめて
 はるかに仰ぐ大御言(おほみこと) 紀元は二千六百年
 あゝ肇國(ちょうこく)の雲青し
 荒(すさ)ぶ世界に唯一つ ゆるがぬ御代に生立ちし
 感謝は清き火と燃えて 紀元は二千六百年
 あゝ報國の血は勇む
 潮ゆたけき海原に 櫻と富士の影織りて
 世紀の文化また新た 紀元は二千六百年
 あゝ燦爛(さんらん)のこの國威
 
 正義凛(りん)たる旗の下 明朗アジヤうち建てん
 力と意氣を示せ今 紀元は二千六百年
 あゝ彌榮(いやさか)の日はのぼる


「金鵄」とは古事記とか日本書紀に出てくる“金色のトビ”のことで、神武天皇の東征に際し、敵の眼をくらませ勝利に導いたという伝説の鳥。これね↓
金鵄
紀元二千六百年の封緘

 ちなみに、この曲は替え歌の方が有名です。いくつかパターンがあるようですが、主なのは次の2タイプ。「金鵄」「光」「鵬翼」は当時の煙草の銘柄です。

 「金鵄」上がって15銭
 栄えある「光」30銭
 今こそ来たぜ この値上げ
 紀元は二千六百年
 ああ1億の民は泣く

 「金鵄」上がって15銭
 栄えある「光」30銭
 それより高い「鵬翼」は
 苦くて辛くて50銭
 ああ1億のカネがいる

 苦しいのは、いつの時代も同じということですな。
更新:2002年12月17日

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