

![]() 選挙の心得 立憲政治の国に於ては選挙の為に投票すると云ふことは最も大切な国民の権利でありますから、此権利を棄てゝ授票をせぬと云ふことは甚だしい不心得であります。又、選挙が正しく行はるゝと云ふことは国の政治が正しく行はるゝ本(もと)でありますから、利慾に迷はされたり情実に捉はれて心にも無い投票をする様なことがあつてはなりませぬ、全たく自分の思つた通りに正直に真面目に適当と信ずる人を選挙すべきであります、殊に選挙の法律規則を知らないと思ひ掛けない罪を犯して刑罰を受けるやうなことになります。 大正4年3月の選挙の時も刑罰を受けた人が1万人もあつたのでありますから、能(よ)く能く注意せねばなりませぬ、依て参考の為め一般の心得ねばならね事柄に就いて其の概略を左に述べます。 (1)選挙人は自分で投票をしなければならぬこと 選挙人は選挙の当日自ら投票所に行き自分で投票をしなければならぬ、若(も)し代人を出して投票をせしめたり又は他人の代人となつて投票をしたりすると1月以上2年以下の禁錮に処せられます。(以上衆議院議員選挙法第98条参看) (以下、箇条書きで、) (2)金銭や品物や手形などを貰つてはならぬこと (3)饗応や接待を受けてはならぬこと (4)公私の地位を得ることに迷はされて投票や運動をしてはならぬこと (5)投票所の往復に乗物に乗せて貰ひ又は車馬賃や茶代宿料等を出して貰つてはならぬこと (6)選挙人は用水や小作料や貸借などの利害関係に誘はれてはならぬこと (7)選挙人を嚇したり拐(かどわ)かしたり騙したり其の往来の便を妨げたりしてはならぬこと (8)候補者の当選を妨げる為め有りもせぬ事柄を言ひ触らしてはならぬこと (9)大勢集つたり鐘太鼓を鳴らしたり大旗を立てたりして示威運動をしてはならぬこと (10)銃器や槍や刀や棍棒のやうな危険な物を携帯(もちあるい)てはならぬこと |
《道楽発端称有志。阿房頂上為議員。売飛累代田畑去。貰得一年八百円》
(超訳すれば「道楽で始めたよぉ、先祖代々の土地売りゃ、“アホの頂上”が議員となって、毎年800円いただきまぁす!」みたいな感じですか? 要は、ばらまく金さえあれば、いくらでも議員になれたわけですな)
ちなみに国会議員の給料は、明治32年には年俸2000円、大正9年には3000円となりました。
かくて日本の選挙は、その高邁な理念とは別に、当初から「金がすべて」で成り立っていたのでした。
というわけで、みんな選挙ではしっかりと清き1票を投じましょうねっ!