電灯ともる

電灯
明るさにビックリ!


 日本で最初に電灯がついたのは、東京木挽町(銀座)の電信中央局開業の日で、明治11年(1878)3月25日のことでした。開業祝賀会の会場となった虎ノ門工部大学校(東大工学部の前身)の大ホールで、初めて「アーク灯」が点灯したのです( これが「電気の日」の由来)。
 その後、東大理学部の卒業式でも点灯に成功。
 当時は電灯のことを「電気光(エレキトリックライト)」と呼んでいましたが、たった1時間つけるのに50円という巨額なカネがかかる上、15分もてばいいほど不安定なものでした。

 で、一般庶民が初めて電灯を見たのは明治15年11月1日。銀座2丁目の大倉組の前で、午後7時30分に点灯されました。電柱の高さ5丈(15m)、ローソク4000本分の明るさだったそうです。このときには1時間点灯するのに20銭必要でした。
(翌年に京都祇園、翌々年に大阪道頓堀でも点灯)

 さて、アーク灯(当時は「弧光燈」と呼びました)というのはバッテリーを使うので、いわば“携帯式”の電灯です。電線を使った固定式の電灯とは異なります。
 言うまでもないですが、キチンとした発電所と送電システムがないと、電気は来ないのです。

 電気設備が整う前、まずは発電機の設置から日本の電化は始まりました。たとえば、以下のような場所に発電機が設置されました。

・明治16年4月、横須賀造船所
・明治16年8月、小石川砲兵工廠(現後楽園)内の村田銃製造所
・明治19年6月、内閣官報印刷場
 
 こうして発電機によって電気の有用性を宣伝しつつ、ついに明治19年7月、日本初の電力会社東京電灯(東京電燈)が開業しました。
 この会社が最初に点灯させたのは、明治20年1月の鹿鳴館で した。余談ながら、当時は白熱灯のことを英語のincandescent lampをもじって「殷煥電燈」と呼んでいました。もちろん移動式発電機によるもので、効率は非常に悪いものでした。



 その後、東京電灯は麹町や神田など5カ所に火力発電所を設置していきます。いよいよ電線による配電の始まりです。

エジソンダイナモ
南茅場町の第2電灯局(発電所)で使われたエジソンダイナモ(直流110ボルト)
国立科学博物館で展示

 
 まず皇居に電灯がついたのは明治22年1月6日。
 これは明治29年の皇居前の画像なんですが、注目すべきは詳細に描き込まれた電線の数。当時の人々にとって、いかに電気が誇らしいものだったか、よーくわかるでしょ?

皇居前

 
 そして、日本で初めて営業用の電力供給が行われたのが明治23年11月で、浅草の凌雲閣。日本初のエレベーターが設置された塔ですな。続いて、朝日新聞、都新聞、時事新報といった新聞社に電気が送られました。


 東京電灯が発電・配電の次に行ったのが、電車の開発でした。
 日本で初めて電車が運転されたのが、明治23年(1890)に上野公園で開催された第3回内国勧業博覧会でのことです。アメリカから輸入されたスプレーグ式路面電車2両がトコトコと動き、大人気を博しました。
 このほか、現在の江ノ電もかつては東京電灯の経営でした。

日本初の電車 日本初の電車
日本初の電車と当時のビラ


 とはいえ、初期の電気はかなり危険なものでした。明治24年、漏電により国会議事堂が焼失し、これで電気は危ないという世論が形成されてしまいます。しかし、電気の利便性の前に批判の声はいつの間にか消え、電気網はその後も着実に拡大していきました。それは東京の空を電線が支配していく過程なわけで……当時は電線を知らない人に向けて、こんなことしないように、みたいな注意も必要でした。↓↓↓

電線
これ危なすぎ
  
 電気はゆっくりとではありますが、確実に家庭に浸透し始め、主婦はこんな家電に夢を抱いていたのでした。まさに、日本が豊かになっていく時代の話です。
電気炊飯器掃除機
左から超高級自動割烹機、飯炊器、真空掃除機

 
 電灯は大正11年頃、東京市内のほぼ全域に普及しました。
 で、大正12年、関東大震災で大停電が起こるんですね。人々は火事や家屋崩壊に恐怖しますが、それよりなにより、電気がないことにおびえたわけです。日本人が「文明」に負けた瞬間でした。

更新:2007年8月27日


<おまけ>
 東京電灯は、電気の普及を進めるため、電球の製造販売も行っていました。これが後に分社化され、白熱舎になります。最初は木綿糸でフィラメントを作っていたんですが、エジソンが日本の竹を用いたと聞いて、竹フィラメントの電球を製造しました。
 この白熱舎は東京電気会社となり、マツダランプのブランドで電球や蛍光灯を発売していました。その後、東京電気は芝浦製作所と合併し、東京芝浦電気、つまり「東芝」となるのでした。
東京電気会社東芝
東京電気会社の全景

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