えいえい

〔永々〕末永く。将来。
えいぶつ
〔英物〕すぐれた人。

えががり
「毯粟(いがぐり)」のなまり。五分刈りの頭。
えきしょ
〔役所〕刑務所のこと。苦役(ちょうえき)をする所の意味。

えきていきょく
〔駅逓局〕郵便局。

えずへかな
〔絵図へ仮名〕地図とちがって、山は山の絵、池は池の絵をかいた、わかりやすい道案内の図を絵図といったが、その絵図へさらにカナをふる。つまりくどいほどわかりやすくいってやること。

えぞうしや
〔絵草紙屋〕小説類の小売店であるが、絵草紙がおもな売品だった。一枚絵、二枚続き、三枚続きの錦絵、子どものおもちゃ絵、千代紙、芝居の似顔絵が店中にかかげられてあったが、明治の中頃、エハガキの流行とともにだんだんはやらなくなった。
「錦絵とはまことに能く附けた名で、その美しいことは云ふまでもないが、殊に各座の新狂言の似顔絵が絵双紙屋の店先にずらりと列んで懸けたのを仰ぎ見た時には、花と云はうか紅葉と云はうか、わたし等のやうな子供でも実に恍然(こうぜん)として足を停めずにはゐられなかった。
(中略)春雨や傘さして見る絵双紙屋 子規

かういふ風情は現代の若い人たちには十分に会得(えとく)されまいと思ふ。」(岡本綺堂「ランプの下にて」)
えだがわ
〔枝川〕大きい川のわかれ。支流。

えて
〔得手〕得意。「得手に帆をあげ」

えてきち
〔得手吉〕得意なもの。また男根をもいう。

えどぐち
〔江戸口〕江戸人の口にあうような調理法。

えどだすけ
〔江戸助け〕他人の代りに盃の酒をのんでやり、また一杯についで返すをいう。

えどぢか
〔江戸近〕江戸にちかいところ。

えどづめ
〔江戸詰〕「江戸屋敷詰」の略。家来がその主君たる大名の江戸屋敷の方へ転勤すること。「国詰」の逆。
えにかいたじしん
〔絵にかいた地震〕動かないこと。「サー話のつくまでは、絵にかいた地震じゃねえが、一寸たりともここは動かねえ」

エビシ
ABCのこと。
えびす
〔夷〕「えみし」の変化したもの。未開人。古代・中世はいわゆる「蝦夷(えぞ)」を指したが、近世からは一般的に「いなかもの」という程度に使われた。「お前のようなエビスになにがわかるか」

えびすぜん
〔夷膳〕膳をタテ板(普通は横板にすえるのに)にすえること。不吉という。

えふ
〔会符〕荷物につける目じるしの札。今日の小包へつける小さい紙とちがい、大名用の長持などは大きな板札を立てた。大正期まで荷物の木札をいっていた。

えり(もと)につく
〔襟(許)に付く〕えらい人のごきげんばかり取って利益を計る。権力に迎合する。
えんぎなおし
〔縁起直し〕不吉を祓い清めること。

えんこ
坐ること。児童語。

えんごくもの
〔遠国者〕四国とか九州とか東北、北海道とかの人を、昔はいった。

えんしゅうすかし
〔遠州透〕小堀遠江守政一の考えた型の透(すかしをこしらえた部分)。書棚の透かしになっている装飾の部分もいう。

えんすけ
〔円助〕1円のこと。初代三遊亭円遊の落語の幇間(たいこもち)が、「円助頂戴」などといって流行させた。

えんそ
〔塩噌〕塩とみそ。生活費。
「塩噌(えんそ)の銭にも困ったとこから、百両(いっぽん)ばかり挊(かせ)がうと、」(河竹黙阿弥「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)ーー白浪五人男」)
「今日は塩噌の銭もねえ。」(同「霜夜鐘十字辻筮(しもよのかねじゅうじのつじうら)」

えんだり
プラスマイナス。差引き。つうぺ。
「今のお嫁入とえんだりにしませう。(不吉なことがあってもーー)」(三遊亭円朝「業平文治漂流奇談」)

えんたろうばしゃ
〔円太郎馬車〕乗合馬車のこと。四世橘家円太郎が、高座でこの馬車の真似をして、「おばあさんあぶないよ」と馭者(ぎょしゃ)のようにラッパをふいたのでこの名が起った。乗合馬車(無軌道)が鉄道馬車に流行をうばわれ、ガタ馬車がガタクリ馬車とののしられだすと円太郎もエンダラとなまり、「エンダラ帽子」「エンダラタバコ」といけないものの名に変った。
entaro円太郎馬車
えんつうふつう
〔えんつう不通〕音信をしないこと。

えんとうぶね
〔遠島船〕流罪(島流し)になる犯罪。「おれは遠島船を腰につけてるんだ。ちっとのことにおどろくか。」

えんりょあけ
〔遠慮明け〕謹慎中の期日が終った事。