ろいろ

〔蠟色〕生漆(きうるし)に油類を加えないでこしらえた黒色のもの。刀の鞘を塗り、かわかしてから角粉(つのこ)と木炭で研ぎ、光沢(つや)をだすと艶麗で「おもむき」が生じる。
ろうかとんび
〔廊下鳶〕遊女屋でなじみの遊女が来ぬため、客が廊下をさまよい歩くをいう。落語「明烏(あけがらす)」の悪党コンビ、源兵衛・多助のごときもその一類であろう。
ろうじょ
〔老女〕武家の奥向(おくむき)の侍女の一ばんえらい人。
ろうしょうだち
〔労症質〕肺病の気味。
ローズ
傷のついている品物。ローズもの。古くなったもの。転じて役に立たなくなることもいう。「いまのうち歌わないと、この唄はすたれるから、折角おぼえたのがローズになっちまう」
ろうつけぎ
〔蠟附木〕マッチのこと。
ろうなぬし
〔牢名主〕重罪犯人が牢内で囚人の頭となり、諸事、数段高い座にあって切盛りをする。牢内での権勢は絶対だった。→「つる」
ろうほう
〔牢法〕牢内に自然とできているおきて。
「少しは牢法も弁(わきま)へながら、そんな不法なことをすりゃあ、このままにゃあ許されねえ。」(河竹黙阿弥「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」伝馬町牢内の場)
ろくけん
〔禄券〕官吏の俸給に替えた公債証書。
ろくさい
〔六斎〕1カ月のうち、162738の日など日数を定めて事をおこなうこと。田舎で市の立つ日取にもいうし、殿様が幾人かの愛妾の所へ六斎の日を定めて寝所へかよう場合にもいった。
ろくしゃく
〔六尺〕6尺棒の略。樫(かし)でできたもの。商家では強盗その他の用心にこの棒をつかった。平手造酒(ひらてみき)が笹川一家の用心棒だといういい方もこのことばから。
「よく商人(あきんど)の家にはありますが、何の役にも立ちません。煤掃(すすはき)の時に畳を叩くぐらゐのもので、」(三遊亭円朝「粟田口霑笛竹(あわだぐちしめすふえたけ)」)
「用心の六尺棒を持って、」(初代三遊亭遊三・落語「六尺棒」)
ろくまくきんしょう
〔肋膜焮衝〕肋膜炎症。肋膜炎。
ろこうちゃ
〔路考茶〕二代目瀬川菊之丞(路考)、江戸随一の女形として名声高く、市村座で柳屋お藤に扮し濃い茶の着附で登場して大人気、以来その着附の色を路考茶といって、明和以後流行した。
「路考茶が秘蔵と見えて鈴をふり
 の川柳は若い娘が十九歳位で死んで寺へ納めた幢(はた)が、其死んだ娘の秘蔵してゐたヒイキ役者の路考茶の振袖であると云ふので、幢には小さな鈴が数個付けてある。『鈴をふり』とあるのは、川柳では多くお寺の幢を云ふのである。」(阪井久良伎「演劇より見たる宝暦天明期」)
ろじづたい
〔路地伝い〕町中の細い横丁から横丁をぬけること。
ロハだい
〔只台〕公園などのベンチ。ロハは「只」という字を2つにわけたので、無料でかけられる往来のイスのこと。
ろよう
〔路用〕旅行費。路金(ろぎん)。
「今夜の雪を幸ひに、草加まで出抜けておいて、上州の方へ行かうと思ひ、いま練塀小路の旦那へ行き路用の金を貰ったから、……」(河竹黙阿弥「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)ーー河内山と直侍」入谷村蕎麦屋の場)
ろれつ
〔呂律〕ことばの調子。