らくいす

〔楽椅子〕安楽椅子のこと。
らしゃめん
外人の妾(めかけ)。洋妾。
「文久元甲子(こうし)三月版、広重筆『横浜売物図絵』(大錦絵)に黒色のやぎを図して『ラシャメン』と傍記(ぼうき)し『此(この)毛を俗にラシャに成と伝(つた)ふなり』とある。らしゃめんは綿羊の毛で作った洋織物であって、現今単に羅紗(らしゃ)と称するものに当り、外国人は大方此羊毛織物に包まれて臥(ふ)すものと断じ即ちらしゃめんなる動物の毛を以て製織したものを抱擁して暖(だん)を取る事に及ぼし、果ては之(これ)を擬人化し日本婦人にて外国人の妾となれるものを称してらしゃめんと呼んだものと思はれる。」(昭和7年版「横浜市史稿風俗篇」)
 また洋妾は外人から貰ったラシャを身にまとうからだという説もあると同書はしるしている。外人が洋犬と共にベッドに眠るところから、犬や綿羊をおかすとおもい、犬羊と同じ境遇となる洋妾を、らしゃめんととなえたという説は古く「守貞漫稿(もりさだまんこう)」にある。
らそつ
〔羅卒〕今日の巡査。御一新直後はポリス、次いで羅卒、明治7年以後巡査となる。官服に3尺の樫(かし)の棒を持ち、角灯をかかげて市中を取り締る羅卒の姿は、河竹黙阿弥「霜夜鐘十字辻筮(しもよのかねじゅうじのつじうら)」)の杉田薫にのこっている。
らちくちのつかない
意味のない。次第のない。まとまらない。てんやわんやの。
ラッコのシャッポ
〔猟虎のしゃっぽ〕北太平洋にいるけもの(狸に似ている)の毛皮でこしらえた帽子。宗匠相子の頭部にあたる部分がさらに高く高くこしらえられてある。
「ラッコ高帽子。身分のよき者この帽子を用ふ。この類はみな裏に織物をつけて細かにさしたる物多し。」(岡本昆石(こんせき)「古今百風吾妻余波(あずまのなごり)」)
rakkoラッコのシャッポ
らりこっぱい
〔乱利骨灰〕めちゃめちゃ。こなごな。さんざん。台なし。
らんたつ
〔乱立〕乱立縞(じま)の略。幅広で薄紫の縞。やたら縞といって、地味な老人のひとえものにもあった。
らんとうば
〔卵塔場〕墓場。
らんびき
〔蘭引〕酒などを蒸溜する器具。多くは瀬戸物の深い鍋の上に、同じ深さの鍋をフタとし、その上に冷水を盛る。下の鍋から蒸気が昇って、フタの裏面に達すると、水のために冷えて露となり、その裏面の一方にある口から流れ出る。
ランプベや
〔ランプ部屋〕江戸時代の吉原の遊女屋には、行灯部屋(あんどんべや)といって、方々の部屋でつかう行灯を、昼は一とまとめに入れておく部屋があったが、明治以後それがランプ部屋に変った。無銭遊興をした男は、この行灯部屋へいれられるということだった。